夜明けのコーヒーには 早すぎる
 「そういうことです。それよりも、最初に言ったように、この仮説に証拠はありません。単なる、解釈の違いです。全ては、明日には判りますが―」
 「うん」リョウコさんは破顔一笑する。「わたし、信じてみる」
 リョウコさんは、日本酒を呷った。
 「そうですか」ぼくは日本酒をチビリ。「では、少しだけアドバイスをします。明日は恐らく、夕方まで出掛けるように言われるか、リカさんに連れ出されると思いますので、乗って上げて下さい」
 「わたしは、リカちゃんが連れ出す方に賭ける。だって、そうしなきゃ準備中にリョウコが帰ってくるかも知れないでしょ。多分、準備が出来た時点で、旦那さんからリカちゃんに、メールが送られる筈よ」
 「それもそうですね。異論はないです」
 「二人とも、ありがと」
 リョウコさんは、深々とお辞儀をした。
 「いいえ、ぼくたちは何も―」
 「ううん。あなた達に話して良かった。本当にありがと。お礼に、一つ教えて上げる」
 「えっ?」
 図らずも、ぼくとヒロコの声が重なってしまった。
 「昔から思ってたけど、久し振りに会って確信したわ。あなた達二人、凄くお似合いよ」
 リョウコさんはそう言うと、ウインクをして日本酒を呷った。
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