夜明けのコーヒーには 早すぎる
でも、冷静になって考えてみて、自分の気持ちが解った」
 頭の中が真っ白になる。ヒロコの言っていることは聞こえているのに、理解が追いつかない。
 「そ、それはつまり―」
 「カドちゃん程、わたしを惹きつけた人はいない。何としてでも知り合いたかったわたしは、カドちゃんのことを調べて、呑み会に参加した。最初だけじゃなく、それからの呑み会も全部。我ながら、ストーカーじみているとは思ったけど、どうしようもなかった。若く、短慮だったわたしには、他に術がないように思えた。馬鹿だよね、わたし。本当にごめんなさい。カドちゃん」
 ヒロコの頬が濡れる。ヒロコは泣いていた。
 ヒロコが泣いていると、ぼくは―
 「悲しい」
 そう、ただ悲しかった。
 ぼくはハンカチを取り出すと、ヒロコの涙を拭った。
 「カドちゃん―」
 ヒロコがぼくを見つめる。
 「ヒロコは、ずっと親友でした。ぼくにとって、掛け替えのない」
 「うん」
 ヒロコは力なく頷いた。
 「でも、どうやら、ぼくもヒロコが好きなようです。今の涙で解りました」
 「えっ?」
 「自分でも意外な程、確信があります」
 「ほ、本当に?」
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