夜明けのコーヒーには 早すぎる
 更にもう15分が経過し、時刻は12時半になった。
 流石に遅すぎる。そう考えたヒロコが、Yに電話をしようか悩んでいると、「ヒロコ、はやーい」と後ろから声を掛けられた。
 やっと来たか。そう心の中で呟き、ヒロコは振り返る。
 「ん?」
 ヒロコは思わず顔をしかめていた。
 Yが男性二人を連れていたからだ。一人は、何度か見たことのあるYの彼氏だが、もう一人は?
 ヒロコが首を傾げていると、はたしてYがニヤニヤしながら、「Kちゃんの友達のTくん」と紹介してくれた。
 (KをYの彼氏、TをKの友達とするので悪しからず。)
 「どうも。Tです。今日はよろしく」
 Tが右手を差し出して言った。
 「はあ、どうも」
 ヒロコは首を傾げながらも、出された右手を握る。
 この時、Tの作られた爽やかさに少し疑念を抱いていたと、後にヒロコは語っている。
 が、言った者勝ちの世界なので、真偽の程は定かではない。
 「ヒロコ。ご飯食べた?」
 Kと腕を組み、イチャつきながらYは尋ねてきた。
 「朝食が遅かったから、皆に合わせるわ」
 ヒロコは正直に答えた。
 「じゃあ、そこのファミレスでご飯食べてからにしよ」
 YはKを引っ張って、店に入っていった。
< 5 / 200 >

この作品をシェア

pagetop