夜明けのコーヒーには 早すぎる
 っと、苦笑ばかりしている場合ではない。
 見つけてしまった以上、放っておく訳にもいかないからな。
 ぼくはロックさんの肩に手を掛け、そっと揺らした。
 「大丈夫ですか?おきて下さい」
 声を掛けても反応がない。
 ぼくは、もう少し強く揺らしてみる。
 「んんっ」
 ロックさんは悩ましげな声を洩らした。
 しかし、起きない。
 「すみません」
 ぼくは一応謝っておいてから、ロックさんの頬を軽く叩く。
 「んー」
 ロックさん、低く唸るも起きる気配がない。
 いや、ロックさんの眼がゆっくりと開く。
 虚ろな眼でぼくを見たかと思うと、ゆっくりと上半身を起こした。
 「大丈夫ですか?」
 と声を掛けても、返事はない。
 寝惚けているのかな?
 と、ぼくが首を傾げたその時―
 どんっ、という音と共に、ぼくの頭に鈍い痛みが響く。
 「うっ―」
 一瞬何が起こったか解らなかったが、どうやらロックさんに頭をチョップされた様だ。
 そしてロックさんは再び隙間の地面に横たわり、寝息を立ててしまう。
 まだ酔っているのか、それとも寝起きが悪いのか、恐らくその両方だと思うのだが、どうしたものか。
 ぼくは一瞬頭に浮かんだ、「放置」という言葉を振り払った。
 頭を掻きかき、嘆息する。
< 56 / 200 >

この作品をシェア

pagetop