夜明けのコーヒーには 早すぎる
 やれやれ。仕方ない、か。
 ぼくはロックさんの脇に手を差し入れ、肩を組む様にして立たせる。
 少し大変だが、何とか家までは引きずっていけそうだ。
 さあ行くぞ―というところで、ぼくはある事に気付いた。
 ぼくよりも一回り身長が高いロックさんを引きずると、ロックさんのズボンも引きずってしまう。
 「参ったな」
 ぼくは呟いた。
 悪戦苦闘をしながらも、何とかロックさんを背負う。
 こんなことを思ったら失礼かも知れないが、正直重い。
 力尽きたら、もう立ち上がれないだろう。
 ぼくは家路を急ぐことにした。

 何とか家に辿り着き、ロックさんを布団に寝かせた時には、ぼくはもうへとへとだった。
 裸にひん剥く訳にもいかず、上着だけを脱がせて掛けておく。
 掛け布団を掛けた後、ぼくはリビングに移動した。
 水を一杯飲んで、シャワーを浴びた途端に強い眠気が襲ってくる。
 ぼくは大きな欠伸をしながら瞼を撫でると、ソファに横たわって眼を閉じた。

 ぼくは朝日に眼を細めながら、眼を覚ました。
 いつも真っ暗な部屋で眠っている為、日光に敏感になっているのかも知れない。
 しかし、朝に起きるなんて久し振りだな。
 ぼくはぼんやりとそんなことを考えながら、頭がはっきりするのを待つ。
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