夜明けのコーヒーには 早すぎる
 ぼくは、悪の怪人を集団暴行しているヒーロー達を見て思った。
 正義の名の下、どんな手段も許される。
 そして、必ず勝つ。
 人類の歴史に戦争は付き物だが、勝つのは正義ではない。寧(むし)ろ正々堂々としていては、勝つ戦も勝てはしない。
 人類の歴史における正義とは、勝者が敗者に押し付けるものだ。
 互いが互いの信念に基づき戦い、勝った方が正義を行使出来る。
 尤も、信念というと聞こえは良いが、大義名分の裏には利益が隠れているのが常だ。
 その蜜を吸う一部の権力者によって、その他大勢の人々は、大義名分を信じさせられて死地へ送り込まれる。
 権力者にとって、他人の命ほど安いものはない。
 人類の歴史とは詰まるところ、勝者達の捏造だ。
 勝った者が自由に歴史を捏造出来る。
 だが、それは絶対ではない。時が経ち、過去の柵(しがらみ)に囚われない価値観を持った人間によって過去の捏造は修正されつつある。
 しかしながら、歴史の勝利者がその時に持った正義を行使し、絶対的権力を手に入れたまま果てることを考えると、後の祭りだとも思える。
 結局は自己満足かも知れないが、歴史の捏造は正されるべきだとぼくは思う。
 そうすれば、如何に自分達が滑稽か解る筈だ。
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