夜明けのコーヒーには 早すぎる
　喫茶店に入り、皆それぞれ好きな飲み物を飲みながら雑談をしていると、自然先の映画の話題が出てくる。
　映画の内容をざっと説明すると、主人公の青年がいて、その青年には気になる女性がいる。物語の前半は、青年と女性が少しずつ親密になっていく様子が描かれる。そして中盤を過ぎた辺りで、二人は喧嘩をして気まずくなる。中盤から後半にかけ、二人はそれぞれ別の相手と親密になってしまう。 だが、終盤を向かえた頃に、互いに相手の大切さを再認識して仲を戻す。というベタな内容の映画だった。
　「いい映画だったけど、一つ納得出来ないよね？」
　Ｔが人差し指を立て、他の三人に向かって言った。
　「えー何がー」
　ＹはＴに向かって、少し身を乗り出した。
　「主人公の相手役が、別の男性と関係を持ったこと。ラブロマンスとしては、貞操を貫いて欲しかったな」
　「そんなもんかな～」
　Ｙが首を傾げながら身を戻す。
　「それは、女性に処女性を求めているのですか？」
　ヒロコはつい、そう口に出してしまった。言ってから、しまったと思っても後の祭り、Ｔは反論してくる。
　「まあ、男側の正直な意見としては、な？」
　ＴはＫに同意を求めた。
　「ま、まあ、な」
　Ｋは、Ｙを伺いながら頷く。
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表紙・目次

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