夜明けのコーヒーには 早すぎる
 「カトウ先生も、同じ事を仰っていましたよ」
 ユリさんは口に掌を当てて、フフフッと笑った。
 それが絵になるのが、ユリさんの凄いところだ。
 いつ見ても美しいね。
 ―まだ二度目だけど。
 「やれやれ。ヒロコは自分のしたことに、もっと自信を持ってもいいのですが」
 ぼくは肩を竦めた。
 ユリさんは、何やら笑いを堪えている様子。
 一体どうしたのだろうか?
 ぼくが首を傾げていると、「ところで、話は変わりますが―」ユリさんは、真剣な面持ちになる。「少し、相談に乗って頂けますか?」
 余りにも真っ直ぐな瞳に見つめられ、ぼくの胸は怪しくざわついた。
 それを隠すため、ぼくはゆっくりと頷き、気持ちを落ち着かせる。
 「いいですよ。ぼくで良ければ」
 そう絞り出した声は、何とか通常通りだった―と思う。
 自信はないけど。

 ぼくとユリさんは、落ち着いて話をする為、近くの喫茶店に移動する。
 向かい合って座り、ぼくはアイスコーヒーを、ユリさんはミルクティーを注文した。
 ぼくはアイスコーヒーを一口飲み、「それで、相談とは?」と切り出す。
 「実はですね―」ユリさんは、少し身を乗り出して声を潜める。「相談というのは、わたしの友人のことなんです」
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