夜明けのコーヒーには
早すぎる
「ユリさんのご友人ですか」ぼくもつられて、ひそひそ声になる。「その友人がどうしたのですか?」
「実はその友人から、恋愛相談を受けまして―」
「恋愛相談、ですか」
「はい。そうです。わたしを頼ってくれたのは嬉しいのですが、如何せんわたしには恋愛経験が皆無であります。ですから、ほとほと困り果てていました。しかし、どうでしょう!今日、街中でカドカワさんと出会う僥倖に恵まれたのです。これはもう、天の采配とばかりに、声を掛けさせて頂きました」
ユリさんは、何だか歌舞伎がかった調子でいい終えると、ミルクティーを啜った。
何だか、前とは別人の様だ。
いや、前回が切羽詰まった状況だっただけで、これが本来の彼女なのかも知れない。
ぼくは、しみじみとそう思った。
「ぼくも―」ぼくは頭を掻きかき。「年相応に恋愛経験がある方ではないですが、それで良ければ微力を尽くしましょう」
「ご謙遜を―」
ホホホッとユリさんは笑うと、急に真顔になり、「ありがとうございます。助かります」と頭を下げた。
「い、いえ。いいんですよ」
ぼくは少し―いや、かなり圧倒されてしまう。
彼女はもしかしたら、ヒロコよりも強者なのかも知れない。
「実はその友人から、恋愛相談を受けまして―」
「恋愛相談、ですか」
「はい。そうです。わたしを頼ってくれたのは嬉しいのですが、如何せんわたしには恋愛経験が皆無であります。ですから、ほとほと困り果てていました。しかし、どうでしょう!今日、街中でカドカワさんと出会う僥倖に恵まれたのです。これはもう、天の采配とばかりに、声を掛けさせて頂きました」
ユリさんは、何だか歌舞伎がかった調子でいい終えると、ミルクティーを啜った。
何だか、前とは別人の様だ。
いや、前回が切羽詰まった状況だっただけで、これが本来の彼女なのかも知れない。
ぼくは、しみじみとそう思った。
「ぼくも―」ぼくは頭を掻きかき。「年相応に恋愛経験がある方ではないですが、それで良ければ微力を尽くしましょう」
「ご謙遜を―」
ホホホッとユリさんは笑うと、急に真顔になり、「ありがとうございます。助かります」と頭を下げた。
「い、いえ。いいんですよ」
ぼくは少し―いや、かなり圧倒されてしまう。
彼女はもしかしたら、ヒロコよりも強者なのかも知れない。