夜明けのコーヒーには 早すぎる
 「確かにそうですね。すると、違うのかも知れません」
 ぼくはパフェを口に掻き込んだ。
 すっかり冷えたので、ホットコーヒーを注文する。
 すると、また触発されたのか、ユリさんがホットコーヒーと一緒にホットケーキを注文した。
 若いだけあって、良く食べるもんだ。
 っと、また老成な思考をしてしまった。
 いかんいかん。せめて気持ちだけでも、若さを保たないと。
 ぼくがそんな事を考えていると、ユリさんがホットコーヒーを一口啜って口を開いた。
 「わたし、少し突飛なことを思い付いたのですが」
 「どんなことですか?」
 ぼくもホットコーヒーを啜る。
 「バツくんがマルさんに手を出さないのは、バツくんが女性だからです」
 「ということは、つまり―」
 「はい。バツくんは性別を偽って、マルさんと付き合っているということです」
 「それは―」ぼくはもう一口ホットコーヒーを啜る。「かなり難しい問題になってきましたね。それが事実ならば、マルさんがバツくんを受け入れるしかない。しかし―」
 「そうです。マルさんはバツくんを男性だと思っていますから、マルさんはヘテロセクシュアルです。しかしながら、この機会にレズビアンに目覚めるかも知れません」
< 91 / 200 >

この作品をシェア

pagetop