夜明けのコーヒーには
早すぎる
肴(さかな)その六 ユラの恋愛相談所
ユラは本人の知らないところで、密かに恋愛相談所と呼ばれている。
これは、元来の人付き合いの良さと、ずけずけとした物言いによるものであったが、ユラ本人は気付いていない。
初対面こそ、人を寄せ付けない雰囲気のせいで敬遠されがちだが、話してみれば気さくで、どんな話でも最後まで聞いてくれる。
そして、気付いてみれば、誰もがユラに恋愛相談をしているのであった。
人と恋愛が出来ないユラだからこそ、他人に感情移入することなく冷静に助言することが出来る。
―ということなのだろうか?
まあ、それはともかく、今日も一人、ユラへ恋愛相談する男性がいた。
彼の名前はクロ(仮)。
肌が元々浅黒いので、そう呼ぶことにする。
そんな彼が、ユラに声を掛けたのは昼休みの終わり頃、何となく気怠い雰囲気が漂っている時だった。
「カトリさん。ちょっといいかな?」
クロは頭を掻きかき、ユラの様子を窺う様に言った。
「何でしょうか?主任」
「いや、少し個人的なことなんだけど―」クロは辺りを見回して、声を潜める。「相談に乗ってくれないかな?」
ユラは片眉を少し動かし、「わたしで宜しければ」と微笑を浮かべて頷いた。
「有り難う。助かるよ」
これは、元来の人付き合いの良さと、ずけずけとした物言いによるものであったが、ユラ本人は気付いていない。
初対面こそ、人を寄せ付けない雰囲気のせいで敬遠されがちだが、話してみれば気さくで、どんな話でも最後まで聞いてくれる。
そして、気付いてみれば、誰もがユラに恋愛相談をしているのであった。
人と恋愛が出来ないユラだからこそ、他人に感情移入することなく冷静に助言することが出来る。
―ということなのだろうか?
まあ、それはともかく、今日も一人、ユラへ恋愛相談する男性がいた。
彼の名前はクロ(仮)。
肌が元々浅黒いので、そう呼ぶことにする。
そんな彼が、ユラに声を掛けたのは昼休みの終わり頃、何となく気怠い雰囲気が漂っている時だった。
「カトリさん。ちょっといいかな?」
クロは頭を掻きかき、ユラの様子を窺う様に言った。
「何でしょうか?主任」
「いや、少し個人的なことなんだけど―」クロは辺りを見回して、声を潜める。「相談に乗ってくれないかな?」
ユラは片眉を少し動かし、「わたしで宜しければ」と微笑を浮かべて頷いた。
「有り難う。助かるよ」