夜明けのコーヒーには 早すぎる
 先ずトイレが頭に浮かぶ。
 しかし、頻繁にトイレに行きたくなるってのは只の頻尿だろう。
 女性には割りと多いっていうし、特に問題があるとは思えない。
 それに、そわそわしているということは、トイレを我慢しているということになる。
 小学生でもあるまいし、頻尿だろうが何だろうが、トイレを我慢する必要はない。
 ということは、そわそわしてる原因は他にある。
 どんなことだろうか?
 そわそわ。そわそわ。そわそわ。
 クロは頭の中で何度も呟く。
 「カトリさん。シロさんはどうして、そわそわしてるんだろうか?」
 クロはユラに聞いてみた。
 「そうですね―」ユラはタコわさを一つ口に放り込み、咀嚼しながら考える。「何か楽しいことでも、あったんじゃないでしょうか」
 「楽しいこと?カトリさんには、何か心当たりは無いの?」
 「ありません」
 ユラはさらりと答えた。
 「そうか」
 クロはがっくりとして、肩を落とす。
 「それが、今日相談したかったことですか?」
 「いや、そういう訳じゃないけど―」
 「ですよね」ユラは頷く。「シロさんに直接聞いた方が、早いですもの」
 「まあね」
 クロは嘆息した。
 「それで、相談とは?」
 「ああ」
 クロは頷いて、ビールを呷った。
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