放課後ラプソディー
コントラバスっていうのは見た目は大きなバイオリンみたいで、俗に言う低音楽器の仲間だ。

メロディーもあまりなく、リズムや刻みが多いから目立つことは少ないけど、みんなを支えられるこの楽器が私は好き。

そして今日のようにJポップをやるときはベースも担当できる。

やっと四階にある音楽室の扉を開けると当然誰もいない。

急いでベースアンプをコンセントからはずして、抱える。

ううっ…結構重いな…

しかも大きいから階段の段差が見えない!

ヨタヨタしながらやっと一つ目の踊り場がみえてきた。

だからかな、少し気を抜いちゃったんだ。

「ひゃあっ!」

わたしの足は空を切った。

落ちちゃう!

そう思って目をぎゅっと閉じた。




………


あれ?

落ちてない?痛くない…

恐る恐る目を開けると、誰かがわたしを抱きとめるようにして、支えてくれていた。

「大丈夫?」

顔を上げると、そこには見たことがない男の子がいた。

印象に残ったのはその男の子の顔がすごく綺麗だったから。

どちらかといえばかわいい、と表現したほうが良さそうなくらい。

「あっ、ありがとうございます!」

慌ててペコリとお辞儀した。

けど、またまたベースアンプの重さで前につんのめりそうになった。

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