放課後ラプソディー
合宿は毎年、バスで二時間ほどかけて山の中のホール付きの宿泊施設まで行くんだとか。

練習はもちろん、いつもより多くする。

かなりキツイらしいけど、終わったらすぐに予選だ。

気を抜いている暇はない。

「いよいよ明日から合宿かぁ。俺、女の子と泊まるのとか修学旅行以来だ。」

トロンボーンのスライドにオイルを吹きかけながら、言うのは原沢先輩。

「俺もです!」

チューバのピストンに同じくオイルを指しながら同意するのは目黒陸斗。

「今年こそは花火大会、彼女と行くつもりだったんだけどなぁ!」

「ちょっと原沢!何見てんのよ!」

同じ学年の女子たちの噂によれば原澤先輩は今年の四月くらいまでトランペットパートの水橋先輩と付き合っていたらしい。

別れた理由はよく知らないけど、特に気まずいとかそういった様子はなくて、むしろ仲良い二人だ。

よく考えれば、俺も桃先輩に告白して、フラレたら気まずくなってしまう可能性があるよな。
< 64 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop