放課後ラプソディー
桃先輩の大きな目が俺を捉える。

その目から、もう逃げられない。

「俺、桃先輩のことが、」

「内宮、ちょっといい?」

好きです、と続けようとした瞬間、音楽準備室の扉が開き、速水先輩が顔を出した。

「なんか顧問が幹部集合って。職員室、行こう。」

嘘だろ、何だこのタイミングの悪さ…

先輩だろうと、少しイライラ…

「瞬君、ごめんね。ちょっと行ってくるね!個人練習してて!」

顔の前で手を合わせると、桃先輩は速水先輩の後について行ってしまった。

あー!

もう、せっかく覚悟決めて言えそうだったのに!

なんでこんなにもうまくいかない?

自分の運の悪さにうんざりする。

思い返してみれば、俺って恋愛に関しては本当に縁がないんだよな。

初恋の女の子とはピアノの教室でからかわれたことが原因でそこから話してないし。

中学の時いいなって思ってた女子からは自分より小さい人は無理って言ってたのを聞いたし…
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