放課後ラプソディー

side瞬

「ねえねえ、そこの君!バスケ部入んない?」

は?

バスケ部?

「バレー部で青春しようよ!」

青春…

俺はイライラしていた。

その原因は、さっき行われた、入学式での出来事。

新一年生が入場して、椅子についた俺の背後でヒソヒソと、でもはっきりと聞こえてきた声。

「ねえねえ、あの後ろの列の右から二番目に座ってる男子、可愛くない?」

「あっ、本当だ!かっこ可愛いってかんじ!」

男で可愛いと言われて嬉しい奴なんてそうそういないと思う。

俺もその一人だ。

小さい時から何度も言われてきた、可愛いという言葉。

それは俺の顔が年齢よりも幼く見えるから。

そして自慢に聞こえるかもしれないけど、華奢とよくいわれるこの体型。

そして何より…

「でも背、低くない?」

「うん、あたしより小さいかも!」

そう、幼い顔、細身の体型、極めつけはこの身長。

同い年の平均身長を十センチほど下回る俺の身長は162cmだ。
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