あたし、猫かぶってます。


 その後、あたしは子供のように泣いた。

 平気なフリしていても、女子の友情なんてくだらないと思っていても、はぶかれるのが初めてじゃなかったとしても、本当は女子から嫌われるのが嫌だった。


 仲良しだったのに、つい最近まで毎日のようにメールしていたのに、仲間外れの対象になるのは一瞬だった。

 「俺は結衣のそばに居るよ。」

 あたしが頷けば、奏多を縛り付けることになるかもしれない。でも、あたしには奏多しか居なかった。


 優しい親、守ってくれる幼なじみ、気にかけてくれるクラスメート、頼れる先生。

 表のあたしを好きだって言ってくれる人はたくさん居る。でも、裏のあたしは?


 「奏多は、あたしのこと、好き?」

 結局はみんなから好かれたい。嫌なこと引き受けるのも、愛想笑いも、純粋に好かれたいだけだった。


 「大好きだよ。」

 その言葉に、ホッと息をつく。


 奏多は、奏多だけは。絶対裏切らない。奏多だけは信じてあげなきゃダメだ。


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