あたし、猫かぶってます。
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「奏多、教科書出せよ。」
あの日から、早瀬くんと仲良くなってしまった俺。
「だから早瀬くん、人に頼むときはちゃんと頭下げるんだよ。」
「分かった、結衣くれ。」
「絶対やだ。」
こんなことを言い合って教科書を渡す。早瀬くんは教科書だいたい学校に持ってこないからよく結衣と借りに来る。
今までは麻紘に借りていたらしいけど、仲良くなってからはしょっちゅう俺んとこに来る。
そして、結衣を毎回取り合う始末。俺らがこんなに必死になっているのに、結衣本人はクラスの男子に話しかけられてスマイル。
「ちょ、結衣。なに話してんだよ。」
不機嫌な表情をした早瀬くんが結衣を睨む。負けじと結衣も睨み返す。
「…仕方ないじゃん。コレ欲しかったし。」
そう言いながら結衣はファミレスの半額券とドリンクバー無料券を見せる。
「俺が奢るから、他の男にニコニコしないで。妬くんだけど。」
結衣を見てそう言えば、口をギュッと締めて、コクリと頷いてくれた。可愛いよね、うん。
「奏多、大好き!」
そう笑う結衣はきっと全て計算でやっているに違いない。昔から、これが結衣の得意技だと知っていてもキュンキュンしてしまう。本当甘いな、俺。
「てか、毎回毎回よくやるよな。」
呆れ顔の早瀬くん。
「だって男子ってみんなバカなんだもん。」
バカにしたように笑う結衣でも、可愛く見えてしまうのは…きっと俺もバカだからだと思う。
あー、なんで結衣ってこんな可愛いんだよ。ばか、