あたし、猫かぶってます。
思えば、あたしとクソ早瀬は一年生の時から仲が悪かったような気がする。
ーーー「W早瀬、また一位と二位だよ!」
早瀬とは去年から同じクラスで、テストで一位二位を争うライバルでもあった。
あたしが早瀬に勝てたことは、今まで一度も無い。同点はあるけど、あいうえお順で張り出される張り紙で、同じ一位なのに早瀬朔と早瀬結衣じゃ、朔の方が上。
悔しいから毎回バカみたいに勉強するけど、満点を取れるわけでも無いし、いつも負けてしまう。
「早瀬っていつも頑張っているよね。」
当時、まだあたしを目の敵にしていなかった早瀬は、そう言って今じゃ有り得ないくらい優しく笑っていた。
「早瀬くんには、勝てないよ。」
そう言ってエヘヘと笑ってみたけれど、内心イヤミにしか聞こえなくて、あたしは心の中で中指立てていた気がする。
それが二年になってから早瀬の態度は一変。あたしにイヤミを言うようになった。そして今に至る。
「早瀬さぁ、」
あたしは今、なぜかクソ早瀬と二人きり。
「いつまでそんなこと、やってるわけ?」