あたし、猫かぶってます。
キスしてから、俺を避けようとする結衣に「親友」という言葉を使ってグイグイ攻める俺。
結衣に「親友」と言えば、大体のことは折れるから、それを利用した。卑怯だけど、それでも結衣と関わっていたかった。
「あー、結衣可愛いわ。」
麻紘にそう言いながら、溜め息を吐く。
麻紘は、中学の時に結衣を好きだったらしいから、てっきり共感してくれるのかと思っていたのに、呆れたように笑いながら、口を開く。
「どいつもこいつも結衣結衣って、忙しいな。」
そう言いながら、斎藤の方が可愛いだなんて言い出す。
「お前、中学の時、結衣好きだったんじゃねぇの?」
そう言えば、麻紘は正直に好きだったと答える。
「可愛いとか、もう思わねえの?」
なんて聞けば、麻紘は笑いながら
「可愛いって褒めたら、朔絶対に妬くじゃん。」
なんて言い出した。
確かに、最近は今まで気にしていなかったクラスの男達の会話も気になって仕方なかった。結衣のことを見るアイツらの視線とか、アイツらに優しく返事をする結衣の態度とか、
いちいち妬いてる自分が居てーーーこんなこと、初めてじゃね?なんて思ったりした。
そんな毎日を繰り返しているうちに、あの日が来る。