あたし、猫かぶってます。

わたし、告白されました。

———知奈side


　朔くんを好きになったのは、いつのことだったのだろう。

　ドストライク過ぎる容姿に、偉そうなのに優しい性格、そして誰も逆らえない絶対的な何かが、きっと私を朔くんに引き寄せたんだと思う。


　ただひっそりと想うだけで良かったのに、私の大好きな友達と朔くんがどんどん仲良くなっていくのを目の前で見せ付けられているような気がしてーー

　なんか、意地悪しちゃったんだよね。



　「朔くんって、結衣のこと好きなのかな？」

　クラスの女子がこれを聞いて、結衣を嫌いになるなんて都合の良いことはあるわけないし、それを望むくらい悪い女じゃないけど、なんか、悔しかったのも本音。


　結局、やったことは自分に返って来るみたいで、私が嫌われちゃったんだけど。

　それなのに、バカみたいに私から離れない結衣を見て、なんであんな意地悪したんだろうって、本気で後悔した。


　結衣に朔くんのこと好きって最初から打ち明ければ良かった。そうすれば、結衣は戸惑いながら私と一緒に居ることもなかったのに。なんて、都合良すぎるね。



　こんな自分、朔くんに相手にしてもらえなくて当たり前だ。そう思ったら、全てどうでもよくなってーー結衣を突き放した。

　結衣はきっと、私じゃなくても楽しくやれる。クラスの人気者の結衣だもん。



　ーーそれが寂しいなんて、都合良すぎる。