あたし、猫かぶってます。


 「結衣。」

 あれこれ考えているとき、後ろから呼ばれる。聞こえているけど、あえて返事しない。


 「ねー無視?ゆーいっ!」

 うるさい。けど、関わるとロクな事にならないから。


 クラスのみんなは、返事をしないあたしを戸惑った表情で見つめる。まあ、あたしには関係ないけど。


 「おい、返事しろよ。」

 出た、本性。


 「ごめん、聞こえなかったー!」

 得意の結衣ちゃんスマイルで、目の前に居る不機嫌なオーラ全開の男を見る。


 最近、関わるようになってきたせいか、色々彼のことが分かってきた。彼は、早瀬朔は、

 クラスの王様的な存在らしい。


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