あたし、猫かぶってます。


 早瀬はあたしのこと気に入ったのかもしれないけど、あたしは相変わらず早瀬が嫌いだからこういうことされても、困る。


 ちぃちゃんと話したくても、早瀬がベタベタくっついてくるから話も出来ないし。

 「結衣、俺、放課後ヒマ。」

 だからどうしたの?…なんて思っていても、みんなの前じゃ言えるわけ無い。


 「あー結衣は奏多と帰らなきゃー。」

 だから、さっさとお前も帰れ。


 「は?」

 さっきまでヘラヘラしていた早瀬が、いきなり真顔になってあたしを見る。怖いんだけど。


 「俺、結衣と帰るんだけど。」

 それが当たり前かのように、あたしにそう言って不機嫌そうに口をへの字に曲げる。


 あたしは帰るなんて言ってないし。

 しかも、今日のちぃちゃん、なんか元気無いし。早瀬に構っていられるほど、あたしだってヒマじゃない。


 「とにかく、結衣は奏多と帰るし、ちぃちゃんと話すの!!」

 可愛くそう言って、ちぃちゃんの元へ向かった。


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