あたし、猫かぶってます。
あたし、ピンチみたいです。
佐伯さと美事件も解決して、奏多と今日も元気に登校しているあたし。奏多は昨日からずっと佐伯さと美には気をつけろと言っていたけれど、正直今のクラスで佐伯さと美は大人しい方だし、問題が起きそうな予感すらしない。
「おはよー。」
いつも通り知奈ちゃんに話しかけて、昨日休んだ理由を説明。呆れながらもよかったねと言ってくれた知奈ちゃん。
それから、クラスの男子が心配して来てくれたからニコッと笑ってお礼だけ言って、メールを返していなかった男子には今朝気付いたと言い訳。
「「早瀬ちゃん可愛い~」」
なんてヘラリと笑って帰っていく男子を、知奈ちゃんが笑っていた。
「結衣、女優なれるよ?」
「へへっ、」
あたしのウラオモテも、最近知奈ちゃんは当たり前のように突っ込んできてくれる。なんていうか、本当に仲良くなった気がする。
「てか、私麻紘と付き合ってるんだけど。」
「…早瀬から聞いた!!」
そう言うと顔を赤くする知奈ちゃん。かわいい。
「んー、ノロケていい?」
「もちろん!!」
そう言うと、麻紘と知奈ちゃんの経緯を少しずつ話してくれた知奈ちゃん。聞いてるあたしの方がキュンキュンしてしまった。
「ちぃちゃんおはよー。」
あたし達がキャッキャと騒いでいると、そう言いながら知奈ちゃんの肩をポンと叩く、あたしの後ろの席の真琴ちゃん。
「まこ、おはよー」
「まこちゃんおはよー!」
知奈ちゃんにつられてあたしも挨拶。だけどまこちゃんは知奈ちゃんの方を見てニコッと笑っただけで、あたしの方を見ずに席へつく。
「うっざ。」
小さく、悪意のこもった呟きを残して。
「…あれ?」
ゾワリと。味わったことのある感覚に胸の奥が震えた。
まさか、ね。そんなのあり得ないよね?あたしの考えすぎだよ、そうだよ。ね。