あたし、猫かぶってます。


 あたしの人生ってつまんないな。人生って言っても17年しか生きていないけど。つまらない人生だなって、今日改めて思った。


 死にたいとか思っているわけではないし、そういうキャラでも無いけど、嫌われないように猫かぶっていたことが、嫌われるキッカケになってしまったなんてーーバカみたいじゃん。

 自分が可哀想なんて思っているわけじゃないけれど、なんていうか悔しいよね。


 分かって欲しいわけじゃないけど、あたしだって自分がしてきたことを分かってるし、打ち明けたらこうなるって分かってたし。

 脳天気に打ち明けたわけじゃない。


 あーくそ。佐伯さと美、今頃「ザマアミロ」とか思ってんかな。やっぱそれなりにムカつくし、悔しい。

 ーーーあーあ。全部投げ出しちゃいたい。



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 「ん…、」

 あれこれ考えながら、この狭いロッカーで寝ていたようだ。くさかったはずの木のニオイも、慣れれば心地よくなってしまうマジック。


 「う…っ、身体痛い。」

 首がゴキゴキと鳴る。廊下はバタバタと騒がしくて、あたしは不思議に思いながらも膝におでこをくっつけて気持ちを落ち着けた。


 「…結衣ちゃああああん!!!!」

 ぴくりと、身体が反応する。その大きすぎる声の持ち主は、先ほどあたしに大嫌いだと言ったあの子。


 「早瀬ちゃーん!!」

 その子だけじゃない、クラスの男子も。



 「どこに居るの、結衣ちゃん!!」


 「体育館の方は?」


 「第二校舎をもう一度見よ。」

 バクバクの心臓、落ち着けあたし。とりあえず状況を把握しなきゃ。結衣ちゃんってあたしじゃないかもしれないし。


 え、なに。なにが起きてるの。あたしが寝ていた間になにがあったの。


 落ち着ける訳がなくて、ハテナマークを頭に浮かべて、めちゃくちゃ動揺しているあたし。そりゃそうだよね、嫌われ者のあたしがなんで探されてるのか分からないもん。


 しかも、早瀬でも奏多でも知奈でも無い、クラスメートがなんでそんな必死な声であたしを呼んでるの。もしかして、調子乗っていたあたしにトドメ刺してやろう、みたいな?

 いいよもう、こう見えてさっきの出来事だけでかなり傷付いたもん。


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