あたし、猫かぶってます。


 結局、ちぃちゃんは何も話してくれないまま、その日はしっかり奏多と帰った。


 それから一週間と4日経った今でもちぃちゃんは何も話そうとはせずに、あたしの前では明るく振る舞っている。

 最初は仲間外れとか、無視だったものも、次第にエスカレートして今ではちぃちゃんに聞こえるように悪口を言う始末。


 悪口を言われるたびに困った顔で笑うちぃちゃんに、なぜかあたしが苦しくなった。

 チクっちゃえばいいのに。


 あたしとか、先生とかに言えばきっとちぃちゃんはこんな顔しなくて済むじゃん。

 教科書だって無くなっているし、クラスの雰囲気だって全く変わってしまった。

 元々、学校なんて色んな人間を観察して、暇つぶしにする程度の場所だったけど、最近の学校はつまらない。


 「あ、トイレ行ってくるね。」

 そして最近のちぃちゃんは、あたしと別行動したがるし。


 別にあたしは一緒にトイレ行ったっていいのに。なんて思いながらちぃちゃんを待っているとーー


 「ゆーいっ!」

 安達歩美が満面の笑みであたしの隣に座ってきた。


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