あたし、猫かぶってます。


 「ほんと、全然変わんないよ。だから、ね?えっと…せーのっ、」


 「「「「ごめん!!」」」」

 せーのっ、って聞こえたんだけど。ーーってかゴメンって?え、ゴメンって言ったよね、今。



 「結衣もうちらと同じだってこと、忘れてた。」

 あたしに大嫌いだと告げたあの子が、頭を下げてごめんと言ってくれている。


 「てか、沢田のお風呂を責めないで、結衣だけ責めていたあたし、おかしかったかも。」

 ずっとずっと話していなかったけど、ずっとずっと話したかった女子達が、みんな揃ってあたしと話そうとしてくれている。


 「うちらも、嫌われたくないんだよね。」

 なんて言いながら、笑いかけてくれている。



 これが夢落ちなら、夢殴る。ボッコボコに、もう二度とこんな幸せな夢見せられないくらいに、殴るから。だから、


 「…結衣ちゃんにも嫌われたくないんだけど、仲良くしてくれない?」

 醒めない現実になって。



 「仕方ない、なあ~。」

 嘘じゃない、夢じゃない、これが現実だってこと、あたしに思い知らせてよ。



 ほっぺたをギュッと思い切りつまんでみたら、思いの外痛かった。爪立てたのは失敗したかもしれない。


 「いはい…」


 「なにやってんの、結衣?」

 知奈ちゃんが笑いながらあたしを見る。



 「夢じゃないよ、結衣ちゃん。」

 なんて笑いかけてくれている女子達。ほっぺたが痛い、泣きそう。



 これは現実だ。痛いよ知奈ちゃん、現実だ。


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