あたし、猫かぶってます。
「歩美ちゃんだー!」
わざと声のトーンを上げて、いかにも喜んでいるかのように振る舞う。もう慣れてる、感。
「やっと知奈(ちな)、離れたね。」
知奈っていうのは、ちぃちゃんの名前。安達もつい最近まで、ちぃちゃんって呼んでいたのに、今更なにしたんだか。
「ちぃちゃん居ないから寂しいー!」
安達がちぃちゃんの悪口を言うのが、なんか気に入らなくて、わざと悪口を言えないように仕向ける。
こうしてても、安達なら気にしないで言いそうだけど。
「てか、あたし知奈嫌いなんだよね。」
ほら。
でも、実際ちぃちゃんをハブいているのは、安達たちだけ。他の女子は、普通に話していたし。
「結衣は、あたしと知奈、どっちにつく?」
安達は、どうでもいいことをベラベラ喋って、楽しそうにニヤリと笑ってから
「残りの女子は、あたしら側につくらしいから、明日から協力してくれるって。」
…は?
「ミノリちゃんも?秋ちゃんも?」
「うん、全員。」
え。安達たちだけじゃないの?
「残りは、結衣だけだよ。結衣は、どっちの味方?」
ちょ、おかしくない?