あたし、猫かぶってます。


 「なに、友達になりたいの?」


 「なり…たいっ!!!!」


 異常なまでに素直な佐伯さと美がちょっとだけ可愛いなと思ってしまった。顔が可愛いとか、そういう意味じゃないからね。


 「うん。いいよ、」

 そう言えば、パアッとあたしにキラキラした瞳で「ほんと!?」と聞いてくる佐伯さと美に、ちょっと笑ってしまった。


 佐伯さと美もきっと友達居なかったんだろうな。

 類は友を呼ぶってこのことなのかも。あたしも友達居なかったし、佐伯さと美も友達居なかったし。


 「とりあえず、よろしく。…さとみん。」


 恥ずかしくなってそっぽ向けば、佐伯さと美改めさとみんは、あたしをジロジロ見ながら口を開いた。


 「結衣ちゃん、顔赤いよ。ツンデレ?」



 「う、うるさい!!」


 「そっちの方可愛いよ~」

 なんて、さとみん。いくらあたしが優しいからって、からかったら許さないんだけど!

 さとみんをギロッと睨み付けたら、奏多はハハッと笑いながらあたしの頭を二回優しく叩いた。


 「結衣は、すごいよ。」

 なんて笑うから、嬉しくなった。



 和んだ空気の中、しみじみとした表情で口を開く、早瀬。



 「俺らのクラスってさーー最高じゃね?」



 「当たり前じゃん!」


 嬉しそうに返す知奈ちゃん。




 2年生になって、こんなにだいすきな友達が増えたんだ。もう、1人じゃないんだ。


 あたし、幸せだ。


< 262 / 282 >

この作品をシェア

pagetop