あたし、猫かぶってます。


 「ねえ、あたし達って今日からカップル?」


 「…そうなんじゃない?」

 真っ赤な顔の奏多が、顔を上げれてそう答えてくれる。耳まで真っ赤、可愛い。


 「今日が記念日?」


 「うん。…って、なんでそんなこと聞くの?」

 なんて不思議そうな顔をしてあたしを見る奏多。だって両想いだけど付き合ってない、とか。あたしだけ彼女気分だったら嫌じゃん。それに、


 「さっき別れようって、言ったから…」

 別れようって言われてから、付き合ってって言われてない。だから、ーーーー気になるじゃん。



 「…なんだ、そう言うことか。」

 フッと笑った奏多が、あたしの頬をムニッと軽く摘んで、優しい笑顔を向ける。


 「ーーー好きだよ、結衣。」



 奏多と付き合ったら、

 休日はプリクラを撮りに行こう。
 春は、お花見に行こう。
 夏は、海に行こう。
 秋は、ぶどう狩りに行こう。
 冬は、ゆきまつりに行こう。

 奏多、大好き。



 「…俺と、付き合って。」

 どうしようもなく愛しい彼が、どうしようもなく愛しいって表情でそう言うもんだから、あたしはコクコクと、何度も頷いた。



 そして今日、奏多の本当の彼女になりました。


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