あたし、猫かぶってます。
それから更に3日間。あたしはなにも出来ずにただただ安達たちのエスカレートしたいじめを見ることしか出来なかった。
「結衣もやりなよー。」
そして4日目の今日。ついに安達に、一番言われたくなかったことを言われる。
「え、あ、」
安達は、ちぃちゃんの教科書にマジックペンであれこれ落書きしている。それも、ちぃちゃん本人の目の前で。
ちぃちゃんと別行動しても、毎日メールしていた。一緒に居れないけど、せめてちぃちゃんの支えになりたかった。
「結衣。」
そう呼ばれて、ビクリと肩が跳ねる。
だってあたしの名前を呼んだのは、大好きなちぃちゃんだから。
「分かってるから、いいよ。」
「っ、」
ちぃちゃんは、すごく悲しそうに笑って、そう言った。
ーー今の安達を止められるのは、早瀬しか居ない。でも、やっぱり頼りたくない。でも、
唇をぎゅっと噛みしめる。
「…けて。」
「え?」
「早瀬、助けて……」
涙を堪えながらそう言った瞬間、立ち上がる早瀬。歪んだ視界で、早瀬は笑っていたような気がした。