あたし、猫かぶってます。
「結衣、心の中で安達って呼んでたの?」
「…うん。」
正直にそう言うと、クスクスと笑い出すちぃちゃん。
「あたしも、結衣に話さなきゃいけないことあるんだ。」
それは、さっきのあたしの暴露に対して?それともまた別の何かに対して?ドキドキしながら、ちぃちゃんを見る。
「彼氏と、別れたんだよね。ていうか、もうとっくに別れてたんだよね。」
「え?」
予想外の告白に、思わず間抜けな声を出してしまう。
「本当はあたしが好きな人できて、振ったんだけど、結衣達の前でずっと見栄張って過去のノロケ話していたんだよね。もちろん放課後デートなんてしてなかったし。」
見栄なんて張らなくても、ちぃちゃんはちゃんとちぃちゃんなのに。なんて思いながら、自分とどこか似ているちぃちゃんに、不思議な感情を抱く。
「しかも、結衣と同じ人が好きなの。」
「奏…「朔くんが、好きなの!!」
奏多!?って、言おうとしたあたしに被さって聞こえた名前は、ライバル早瀬の名前で。
「いや、あたし早瀬好きじゃないし。」
思わず素のあたしでツッコミを入れてしまった。