あたし、猫かぶってます。
「だって朔くんと仲良しだし…」
「あたしは、早瀬じゃなくて奏多が好きなの!」
思わず大きくなる声。早瀬が好きとか、気持ち悪すぎる。早瀬とキスとか絶対無理だし。
「え?」
あたしの叫びに、キョトンとした顔のちぃちゃん。
「よかったぁあああ!!」
ちぃちゃんもあたしと同じくらい大きな声でそう言って、ヘタリと階段に座り込む。
「結衣に、嫌われたくなくてずっと言えなかった。」
ちぃちゃんの声は震えていて、なんていうか無性にギュッとしたくなった。レズじゃないけど。
「なんで、嫌われたくなかったの?」
あたし、ウザ。自分でも思ったけど、ちぃちゃんの気持ちがハッキリ知りたい。…って、なにあたし、キャラ違うね。
「だって、大切な友達には嫌われたくないじゃん。」
「っ!」
「てか、知奈って呼んでよ。」
なにこれ、なにこれ、なにこれ。
今まで友達なんか居なかったあたしが、ちぃちゃんの大切な友達とか、やばい、涙出そう。
「知奈ちゃんって、呼びたい。」
いつか呼び捨てで呼んでみたいな。
「いつか知奈って呼んでよね。」
そう言って知奈ちゃんはあたしに抱きつく。初めてのことに戸惑いながらも嬉しさを隠せないあたし。
「知奈ちゃん、仲良くしようね。 」
早瀬結衣、17歳。今日、知奈ちゃんと本当の友達になりました。