あたし、猫かぶってます。


 早瀬は、どうやら言い出してからの行動が早いみたいで、あたしを引っ張るように学校を出てーー電車に乗る。あ、あたしんちと同じ方向の電車じゃん。


 …って、じゃなくて!早瀬の彼女とか、なんであたしが会わなきゃいけないの!?気まずいし話すこと無いってば。

 大体、早瀬の彼女ってことは早瀬と同じで性格悪いのかな。それともあの早瀬と付き合えるんだから性格良いのかな。

 「あ、ここ。」

 そう言って、早瀬はズンズンと店の中へ入る。


 「あの、彼女さんは?」


 「もう来てる。」

 うわああああ。逃げたいけど、早瀬にガッチリ腕を捕まりれているこの状態で逃げれるわけがない。


 「いらっしゃいませーーって朔くん。なっちゃん来てるよ。」

 顔見知りなのか、親しげに早瀬に話しかける店員。麻紘くんも笑顔で挨拶する。


 案内されたテーブルへ行くと、

 「ちょっと朔、いつまで待たせるーー」

 ショートでふんわりパーマの女の子。あたしが言うのもあれだけど、普通に可愛い。


 「結衣ちゃん!!!!」

 一瞬目が合ったと思えば、いきなり抱きつかれる。


 この人が早瀬の彼女?イメージ、違う!!!!


< 47 / 282 >

この作品をシェア

pagetop