あたし、猫かぶってます。
あたし、ときめきました。
ーーー帰り道
あたしは一人で帰れるって言ったのに、なぜか早瀬がついてきた。棗ちゃん送ってやれよ。
「結衣って意外に泣き虫だよな。」
「……。」
さっきから、早瀬が一方的に喋っているだけ。あたしは徹底的に無視しているのに喋り続ける早瀬。
「もっと頼ればいいのに、バカだなー」
無視しているのに、今日の早瀬はなんか優しい。いつもと違う。困る。
自己中な早瀬で居てくれなきゃ、困る。優しい早瀬は、なんか困る。泣きたくなる。
どんどん溢れてくる涙。今までこんな風に考えてくれる友達なんか、居なかったから。自分でも戸惑っているんだ。
「無理しないで、俺にぶっちゃけろ?ちゃんと助けるから。」
ポンポンと頭を軽く叩く早瀬。涙がポロッと零れる。
「ごめん。」
涙を拭いながらそう言うと、早瀬は困ったように笑いながら、
「そういう時はありがとうって言うんだよ。」
って言って、あたしを軽く抱き締めた。
なにこれ、浮気だよ?早瀬。