あたし、猫かぶってます。


 「早瀬は、彼女居るし。あたしのこと、親友って言ってくれた。」

 テストで勝てなくて、悔しくて嫌いだった早瀬。でも、本当はありのままの自分が認められている早瀬が羨ましかった。あたしは、違うから。


 そういう意味で、早瀬はすごいと思うし、あんなカッコ良くて、なんだかんだ友達想いならモテるのも分かる。


 だけど、早瀬があたしに恋愛感情を持っているなんてどうしても思えない。

 早瀬が「好き」って言ったら、親友としてって意味だと思う。棗ちゃん、居るもんね。


 「親友?」


 「全く友達居なかったあたしが、知奈ちゃんとか、早瀬とか、麻紘くんとか、早瀬の彼女と友達になれたんだよ。」

 すごいと思わない?と付け足しながら奏多に話す。


 「麻紘…、」

 奏多が心配したり、過保護になったのは、あたしがたくさん心配かけたから。でも、


 「友達はみんな大好き。でも、みんな奏多には勝てないよ。だってあたしと奏多は、そこらへんの恋人より、ずっと仲良しなんでしょ?」

 奏多んちの5メートル前で抱き合いながら何言ってんだ、あたし。


 恐る恐る顔を上げると、奏多はいつの間にか笑っていて、


 「もちろん!」

 あたしまで、笑顔になった。


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