あたし、猫かぶってます。
「お、早瀬。良いところにいた。」
そう言って、笑顔であたしに歩み寄って来るハゲ。こっち来ないで欲しいんだけど。
「なんですか、先生?」
結衣ちゃんスマイルで先生に愛想笑い。どうせ雑用なんだから、ぶっちゃけ無視したいけど、仕方ない。
「このプリント配っておいてくれるか?」
そう言って渡されたプリント。地味に重いんですけど。
「わっ、重…っ、」
そう言って少しよろめく。勿論、演技。
「大丈夫か?」
「ちょっと重いですけど、頑張ります。クラスの為ですから!」
そう言ってニコッと笑う。あたし、本当にいい子。
「結衣?」
そう呼ばれて振り向くと、奏多が居て。自然と笑顔になる。今日は、奏多に会えたから、ハゲに感謝かも。