あたし、猫かぶってます。


 「てかさぁ、そろそろ帰るー?」

 まだ3時くらいだけど、早く奏多に会いたくてみんなに聞いてみた。


 「帰るー?じゃなくて帰りたいんでしょ?」

 さっきからあたしに突っかかってくる麻紘。本性がバレたし、仲直りしたからだろうけど。


 「やだぁー」

 まぁ、図星。暇だし、眠いし。よく分かったね、麻紘。

 知奈ちゃんと仲良くお喋りなら全然楽しいけど、余計なの2人も居るしね。


 「帰ってもいいけど、駅まで送れよ。」

 あたしの提案を意外にあっさり受け入れる早瀬。はぁ?とか言われると思ってた。ごめんごめん。


 「あたし、帰りがてら送るよ。」

 んで、帰りにVORG買って奏多んちでゴロゴロしながら読もう。ちなみにジェシカちゃん大好き。


 「俺も暇だし送るよ。」

 なぜかあたしに便乗して立ち上がる麻紘。お前は知奈ちゃんと一緒に居たいだけだろ!言わないけど。


 「じゃ、行こう。」




 この時のあたしは、気が緩んでいたせいか、大切なことを忘れていた。それに気付くのは、このあとすぐだったーーー


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