あたし、猫かぶってます。


 「元気だったー?なんでクラス会来なかったのー?」

 白々しくあたしに話しかける由真。うん、あなたも相当性格悪いのね。


 「あー、奏多が行かないって言ってたから。」

 本当は、女子からお誘いメールが来なかったから。男子からはたくさん来たけど、女子からは一通も来なかった。あたしはお呼びでなかったらしい。


 「まだ奏多にベタベタしてんのかーっ、」

 笑いながら嫌みを言う由真。笑顔で受け止めるあたし。女って、怖いよね。


 「奏多大好きだからね。あ、もう帰るわ!」

 そう言って笑顔で由真にバイバイと言って、知奈ちゃん達にもバイバイと手を振る。


 こんなことで泣かないけど、いきなりだったからびっくりしただけ。あたしが弱気なんて、らしくないし。猫かぶって笑うのは上手いから。


 「待て、結衣。」

 早瀬が後ろであれこれ言っていたけど、全部無視して早足で駅を出る。


 別に自分が可哀想なんて思わないし、由真を憎んでもいない。また仲良くしたいなんて言うほどいい子じゃないし、関わりたくないだけ。



 「ーー結衣!!!」

 ぐいっと、腕を引かれる。うるさい。


 「麻紘が言ってた元カノの親友って結衣だったんだな。」

 そうだよ、悪い?

 「なんか言えよ。」

 ゴチャゴチャゴチャゴチャーーー


 「うるさい!!!」

 天然な女の子が出すような声じゃない。でも、もう限界なんですけど。あたし、短気なんだよね。


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