あたし、猫かぶってます。


 「で、何言われたの。」

 とりあえず奏多の部屋に移動して、あたしは奏多と向き合うような体勢にさせられた。しかも正座。


 「えっと、久しぶりって…」

 それだけじゃないけど、嘘は言っていない。


 「後は?」


 「えっと、」

 由真にイヤミを言われたなんて言ったら、きっと奏多は怒ってくれる。だからこそ、その優しさに甘えたくない。


 「隠してんのバレバレ。」

 はぁとため息を吐きながら呆れたようにあたしを見る奏多。


 「それとも、また俺には内緒で早瀬くんに頼るの?」

 困ったように、拗ねたように、奏多はあたしを見る。


 こんな真っ直ぐ見つめられたら、誤魔化せないよ。


 観念したあたしは、由真に言われたことや、早瀬に八つ当たりしたこと、ついでに麻紘と仲直りしたことまで全部話した。


 「…んだよ、それ。」

 話を全部聞いた奏多は、下を向いてガシガシと頭を掻いてーー


 「早瀬くん、超カッコいい役じゃん。ごめん、結衣がツラい時にこんなこと言うべきじゃないけど、」


 「めちゃくちゃ、妬いてる。」

 顔を赤くして奏多がそう言うから、悲しい気持ちなんてぶっ飛んじゃって、あたしまで赤くなった。


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