あたし、猫かぶってます。


 「でも、麻紘と前みたいに仲良くなれたのは嬉しい。」

 まるで自分のことみたいに笑う奏多。その笑顔を見るだけで心が温かくなる。


 「それに、麻紘は斎藤さんが好きみたいだからーーライバルが1人減ったしね?」

 そう言いながら、奏多は意地悪そうに笑う。すぐその意味を理解したあたしはさらに赤くなる。



 「打倒早瀬くんだね。」

 早瀬があたしのことをいちいち構うのは、あたしが早瀬の親友だからであって、深い意味は無いのにーー奏多ってほんとバカだよ。


 「あたしは奏多の方が心配だよ。」

 あたしの他に大切な人とか作ったりしたら、絶対その子に嫉妬して意地悪しちゃいそう。あたし、性格悪いし。


 「なーに言ってんの。」

 奏多は困ったようにゆるく笑い、ちょっとあたしに近付く。


 「結衣のこと好きすぎて、実際困ってんだけど。」

 なにに困るのよ。なんて聞けなくて、恥ずかしくなったから視線を逸らした。ら、


 「結衣、逸らさないでよ。」

 ぐいっと両頬をつかまれて、奏多の方を強制的に向かされる。


 「結衣が理解するまで伝える。結衣が好き。」

 「おっけ、理解した?」


 あたしが縦に首を振ると解放される両頬。


 …なに、これ!?


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