あたし、猫かぶってます。


 これって告白だよね?あたしは奏多が好きで、奏多もあたしが好きってことだよね?


 「じゃあ、あたし達って両想い?」

 告白って言うよりは好きな人を教えてもらったって感じ。奏多は多分、付き合って欲しいとかそういうことが言いたいんじゃないと思う。


 「そうだよ、ばぁか。鈍感。」

 何となく、もしかしてって思っていたけど、まさか本当に両想いだとは。自然とにやける口元。鈍感じゃなくて、ちょっと感づいてたし。


 「ーー奏多、好きだよ。」

 両想いって、いいよね。ふわふわした感じとか。


 奏多には性格悪いあたししか見せてないし、ワガママしか言ってないと思う。それなのに、あたしが好きだなんて、本当に奏多って趣味悪い。



 「仕返しかよ…タチ悪い。」

 困ったように笑う奏多に笑みがこぼれる。


 「奏多、だい、だい、だいすき。」

 もっと奏多を困らせたくて、笑顔で奏多に好きと告げると、


 ーーーグイッ


 「あんま煽るようなこと言ってると、キスしちゃうよ?」

 形勢逆転。


 調子に乗っていたあたしの腕を掴み、グイッと顔を近付けて意地悪に笑う奏多。

 って、近い近い近い!!!


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