あたし、猫かぶってます。
最近、知奈ちゃんとずっと一緒に居る。めちゃくちゃ楽しいし充実してる。どんどん、どんどん知奈ちゃんがあたしの特別になっていくのが、自分でも分かった。
クラスの女子と話しても楽しいなんて思わない。自分の都合良いことばっか言って、噂や人に流されている人なんか興味無いしね。
でも、知奈ちゃんは違う。なんか、他の女子とは違う。
知奈ちゃんと話していると、なんかほっこりする。幸せな気持ちになる。奏多と話しているときみたいな。
「なんだよ、男かと思った。」
早瀬は一息ついて、あたしから顔をゆっくり離す。知奈ちゃんはニコニコしてあたしを見る。
「あたしは、奏多も早瀬も麻紘も同じくらい大好き。ただ、恋愛感情があるのは奏多ってだけで、実際みんな同じくらい大切だし。」
珍しく、素直になってあげるよ。たまにはね。
「は?」
あたしの言葉を聞いて、笑うどころか、顔をしかめる早瀬。
「え。なんでそんな顔するの?」
早瀬、謎。
あたしは驚きながら早瀬を見る。なんていうか、怒ってるって言うよりーーー
「結衣にとって俺の存在は、麻紘や秋村と同じな訳?ーー俺がなんでこんなに結衣を気にかけてんのか、考えたことねぇのかよ。」
拗ねてるような、なんとも言えない表情。
早瀬は、何を考えているんだろう。
「だから、早瀬もあたしを親友だと思ってーーー」
「違うっつーの。」
あたしの言葉を遮る早瀬。真剣な瞳。逸らせない。
「結衣だからに決まってんだろ、バカ。」
こんな表情、いつもの早瀬らしくない。