あたし、猫かぶってます。


 最近、知奈ちゃんとずっと一緒に居る。めちゃくちゃ楽しいし充実してる。どんどん、どんどん知奈ちゃんがあたしの特別になっていくのが、自分でも分かった。


 クラスの女子と話しても楽しいなんて思わない。自分の都合良いことばっか言って、噂や人に流されている人なんか興味無いしね。

 でも、知奈ちゃんは違う。なんか、他の女子とは違う。


 知奈ちゃんと話していると、なんかほっこりする。幸せな気持ちになる。奏多と話しているときみたいな。


 「なんだよ、男かと思った。」

 早瀬は一息ついて、あたしから顔をゆっくり離す。知奈ちゃんはニコニコしてあたしを見る。


 「あたしは、奏多も早瀬も麻紘も同じくらい大好き。ただ、恋愛感情があるのは奏多ってだけで、実際みんな同じくらい大切だし。」

 珍しく、素直になってあげるよ。たまにはね。


 「は?」

 あたしの言葉を聞いて、笑うどころか、顔をしかめる早瀬。


 「え。なんでそんな顔するの?」

 早瀬、謎。

 あたしは驚きながら早瀬を見る。なんていうか、怒ってるって言うよりーーー


 「結衣にとって俺の存在は、麻紘や秋村と同じな訳?ーー俺がなんでこんなに結衣を気にかけてんのか、考えたことねぇのかよ。」

 拗ねてるような、なんとも言えない表情。


 早瀬は、何を考えているんだろう。


 「だから、早瀬もあたしを親友だと思ってーーー」

 「違うっつーの。」


 あたしの言葉を遮る早瀬。真剣な瞳。逸らせない。


 「結衣だからに決まってんだろ、バカ。」

 こんな表情、いつもの早瀬らしくない。


< 86 / 282 >

この作品をシェア

pagetop