あたし、猫かぶってます。
「意味分かんない!!」
親友って思っていたのはあたしだけだったってこと?めちゃくちゃバカみたいじゃん。
「麻紘や、知奈ちゃんは早瀬にとって親友だけど、あたしは違うの?」
仲間外れにされるのは初めてじゃない。あたし、昔からずば抜けて可愛いかったから妬まれていたし。
なのに、なんでこんな寂しいんだろう。
由真の時も、仕方ないって割り切っていた人間関係。辛くなかったわけじゃないけど、どうすることも出来ずに諦めたのにーー
「早瀬は他の男子みたいに、あたしが可愛いから助けてくれたの?」
違うって言って欲しい。なんてーーワガママ?
「結衣、それは違う。朔は、」
話を聞いていた麻紘が、真剣な顔であたしを見る。
「いいよ、麻紘。俺が言う。」
早瀬はため息を吐いて、麻紘にそう告げる。
「結衣、ちょっと来い。 」
そう言って、グイッとあたしの腕を引っ張る早瀬。なにを考えているのか、分かんない。
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「結衣、聞いて。」
「やだ。聞かない。早瀬、最低だよ。」
屋上前の階段。早瀬になぜか抱き締められているあたし。
「まだ、なんにも伝えてないんだけど。」
困ったように笑う早瀬。怒ったり優しくなったり分かんないよ。
「だって、早瀬…は、」
そこらへんに居る男子と同じだったんでしょ?
「…また泣くの?本当、泣き虫。」
あたしの目からボロボロ零れる涙。早瀬が泣かせてるんじゃん!ばか!
「鈍感な結衣のために言ってやるよ。」
優しくあたしの涙を拭う、早瀬。
「親友なんて域じゃないくらい、俺の中で結衣が特別な存在になってんの。気付いてた?」
「顔とか性格じゃなくて、素の結衣が好きなんだけど。」
まっすぐ、まっすぐ、あたしを見て、早瀬はそう言った。