あたし、猫かぶってます。
あたし、モテます。
「早瀬ちゃんのこと、好きなんだけど、付き合ってくれない?」
あたしってモテるんだなって思う瞬間。
男子があたしに告白してきた時。男子があたしに優しくしてきた時。男子がバカみたいにニヤけながらあたしを見てる時。
可愛いから見たいって気持ちは分かる。あたしもカッコいい人居たらついつい見ちゃうし。
けど、男子が言う「好き」は、なんか軽くてムカつく。
そりゃ、あたしみたいに可愛くて賢くて天然な彼女が居たら幸せだよ。けど、あたしは大して話したこと無いのに、好きとか。ねぇ?
例えるなら、よく分かってないにわかファンがアニメや漫画を泣けるとかヤバいとか言って語り出すくらい、ムカつく。
「結衣、好きな人居るんだ。ごめんね?」
申し訳無さそうにあたしが謝れば、それ以上は何も言わない。どいつもこいつもバカ。
彼氏彼女が居るから勝ち組とか、居ないから負け組とか、考えるだけでくだらない。
好きな人や、大切な友達が居ればそんなのどうでもよくなってくるし。
だから、早瀬に揺らぎたくなかった。ちょっとでもドキドキして振り回されて、あたしバカみたいじゃん。
あたしが男の事なんかで悩むこと自体、あり得ない。明日からは、早瀬なんか相手にせずに平和に生きよう。
なんて、思っていたのに、
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「結衣ー?どこだー?」
「っ、」
あたしの日常に平和なんて無いようで。
「お前がここに居るのは分かってるんだぞー?」
てか今あたし、絶体絶命じゃない?