ここに在らず。


ーーそう思った、その日の夜。


私は気がつくとやっぱりそこにいた。

公園の入口から少し先のベンチまで歩みを進めると、トウマさんがこちらに気づいてくれる。


「トウマさん、少しお時間よろしいですか?」

「あぁ、もちろん」


尋ねる私に答えてくれたのは、フードを取って微笑むトウマさん。そんな彼の姿にホッとして、私はそっと彼の隣に腰を下ろした。


「実はですね、今日はちょっとお聞きしたい事がありまして…」

「?、聞きたい事?」

「…いや、というか何というか、何て言えば良いのか…聞きたいというよりも、聞いて頂きたいと言いますか…」

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