ここに在らず。


「うん。何でも聞くから話してごらん?」


なんて、よく分からない事を呟く私にでも、トウマさんはいつも優しい。

その言葉に背中を押されて、私は最近のあの人の事をトウマさんに話してみる事に決めた。


「…はい。あのですね、最近…といってもまだ二回くらいなのですが、図書館でですね?私、声をかけられたんです」

「声?」

「はい。トウマさんがどこまでご存知かは分かりませんが、正直、私に話しかける人なんていないんです、この辺りでは。でもかけられたんです、それも二回も」

「……」

「どうやら一般の利用者の方らしいのですが、始めは私も何か可笑しいなと思って警戒していたんです。でも別に何をするでも無くて…何の本を読んでるの?とか、そんな事を話したら後は隣で本を読んでいるだけなんです」

「……」

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