ここに在らず。
「……」
「……」
「…えっと、質問の答えだな」
「……はい……はい?」
ん?質問?と、落ち込んで俯いていた顔を思わず上げる私。するとトウマさんはキョトンとして、
「ん?そいつがどんなつもりか分からないんだよな?…あれ、違うか?」
なんて、私に尋ね返した。すっかり忘れていた私とは違い当初の質問をしっかりと覚えていてくれて、更に今、答えようとしてくれたらしい。
「い、いえっ!違いませんっ!」
何てことだ!当の本人である私がすっかり本題を忘れていたなんて、申し訳ないにも程がある!と、その問いに慌てて答えると、トウマさんは訝しげな顔をした。それでも、すみませんでしたお願いしますお願いしますと心の中で祈っていると、伝わったからなのかは分からないけれど、そのまま話を進めてくれる事になった。
「?、うん…えっと…そうだな。正直俺にも詳しくは分からない。でもそいつは、君の事が気になるんだろう」
「私が気になる?」
「あぁ。気になるから声をかけるんだ。まぁ、その意図までは分からないけど…気にならなきゃ、声なんてかけない」