ここに在らず。

「だったら…どうして私に声を掛けるんですか？」


もうこのままどんどん分からなくなるならいっそと、単刀直入に尋ねてみる事にした。するとその私の問いに、その人は少し間を置いて考えた後…ピコン！と何か思いついたような表情へと変えて、「そういうことね」と、一人頷いた。


「それはアレだ。あんたの事が気になるからだ」

「……」

「あれ？いつものですか？」

「……いえ、だからそれが分からないなと思って…」

「気になるのが？」

「そうです。何に気になっているのかが分かりません」

「だからあんたにだって」

「だから、私の何にでしょう？」

「いや何にって……そうだよな、あんたはそういう人なんだっけか」


なんて呟くように言った後、その人は小さく溜息をついた。