ここに在らず。
二つの告白
「お、居た居たー」
「…こんにちは、ナツキさん」
当たり前のように隣に腰を下ろすナツキさんへ私が挨拶をすると、「おぉ!ちゃんと覚えてたなんて感動」と、ヘラヘラしながらナツキさんは答えた。
「感動、ですか?感動したんですか?」
「ん?まぁ、そんな感じ」
「そんな感じ?それは、私が忘れていると思われていたという事ですか?」
「えぇ?んー、忘れてるっつーか忘れてるかもっつーか…って、なんか随分食いつくな」
なんて、驚いたような感じのナツキさんに「あ…いえ、なんだか感動という言葉が、私の中でしっくりと来なかったので…」と答えながら、私は少しションボリとする。